"photobashiru" ...

写真を中心に、ほとばしってるものを。

みんなのミュシャ(2019. Sep. 22)

つのだゆき さんの個展「硝子のカタチ」を見た後(前回記事)、
渋谷をブラブラしていたら、Bunkamura の前を通った。
それで、ザ·ミュージアムで「みんなのミュシャ(2019.7.13~9.29)」を
やっていることを思い出した。
少し前から行きたいと思っていたのだが、忙しかったのですっかり忘れていた。
ちょうど9月20–28日は20時まで延長して開館することになったようなので、
時間的にもちょうど良かった。

みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ― 線の魔術 | Bunkamura

アルフォンス·ミュシャは 1860-1939年に生きた人で没後80年ということだ。
人物や構図のインパクトの強さというのがまず魅力的あるが、
背景には星·ハート·孔雀の羽·ケルト紋様などのパターンが使われていて、
近くで見ると意外とポップな印象なのだが、
遠目で見るとそれらのパターンが背景として主張しすぎないのが面白い。
私の中のヒッピーのファッションとかイメージというのは、
ミュシャが原点だったようだ。
与謝野晶子の『みだれ髪』の表紙にもミュシャの影響が見て取れるというのも、
興味深かった。
本の挿絵とかポスター用の作品を多く手がけており、
そこに芸術性が共存していたという点が多くの人に愛されるのだろう。
これだけ影響力が大きい人だが、私に関する限り
今までミュシャの作品にに触れる機会というのはほとんどなかったように思う。
実際、ミュシャの影響を受けたとみられるレコードジャケットを見ても、
1960年代後半から1970年のものがほとんどであり、
私が熱心に聞いたものはあまりないようだったので、無理もないかもしれない。
少し聞いたとすればジミ·ヘンドリックスくらいだが、
展示されたジャケットは初めて見た。
マンガやイラストの展示でも、私が認識しているのは天野喜孝くらいであった。

来ている人の層は老若男女様々で、結構混雑していた。
最後の Goods の販売コーナーではものすごい勢いで売れていて、
ミュシャの人気ぶりが伺える。
そういう私も、図録 · ポストカードや複製画は、記憶に留めておくのに役立つので、
特に気に入った時には購入するようにしている。
複製技術のおかげで、多くの人が芸術を楽しむことができるようになったけれど、
一方で、今まさに芸術を作っている人の作品は一点ものなので、
やはり敷居は高いと感じる。
そういった意味で、
作家がひらく個展とこういったイベントはほとんど別世界だと感じる。
私が気に入った複製画を購入したとして、自分自身は満足なので良いのだが、
その支払った代金は現在の芸術家への支援に貢献し得るのだろうかと考えたりすると、
何かわりきれない気持ちが残る。