"photobashiru" ...

写真を中心に、ほとばしってるものを。

Short Story

黄金の環

8月の終わり頃のことである。何をする気も起きなくて、腹も減ってきたので外へ出た。人気もなく、静まりかえっている。少し湿気を帯びてはいるが、思ったより心地よい。木々の葉がさらさらと音を立て、耳の横をびゅうっと風が通り抜けた。街灯のせいか、セミ…

階段

夕暮れ時、真昼の暑さが未だ冷めきらぬ中、家路につく。むっとした湿気の中を歩いていると、体中から玉のような汗がふきだし、シャツをじとっと濡らす。時折、ゆるやかに流れてくる風は生ぬるく、密室で愛撫されているような気だるさがある。太陽はとうに地…