"photobashiru" ...

写真を中心に、ほとばしってるものを。

青森 七戸–北海道 ニセコ(2007. July)

以前、車で東北から北海道を旅したことがあった。
考えてみると、ちょうど12年前である。
旅先で写真を撮るようになったのも、この旅が最初だったと思う。
この頃は、実家にあった銀塩フィルムのカメラを使っていた。
当時、露光時間 · 絞りなど、カメラの知識は全くなかったので、
カメラに表示される適正な露出で撮って見たり、
少しオーバー気味で撮ってみたりしてみたけれども、
適正な露出で撮るのが良かったように思う。
デジタルカメラに比べると、フィルムはやはり1枚1枚の重みがあって、
そんなに気軽には撮れなかった。
デジタルではどうも撮り過ぎてしまう傾向があるけれども、
自分なりに納得できるものの数というのは、
実はフィルムの時とそんなに変わらないように思う。

この頃は全くお金がなかったので、高速道路は使わず、
車中泊で行くしかなかった。
青森の七戸に辿り着くまでに、3日ほどかかった。
青森で温泉に入ってみると、地元のお客さんの会話(津軽弁?)
が全く分からなくて、異国に来たような楽しさがあった。

f:id:photobashiru:20190714224916p:plain

この頃はナビも使っていなかったので(スマホもないガラケーの時代)、
「東日本道路地図」だけを見ながら進んでいた。
一般道路だけで宿に泊まる必要がない場合、
意外とこれで事足りるのである。
この地図が意外と便利で、道の駅や景勝地の情報も載っているので、
こういう経路にして、ここに寄ってみようという計画を立てるのが楽しい。

当時は撮った写真はカメラ屋さんに現像してもらって、
それをデータ化するというサービスも同時にやってもらっていた。
今見てみると、画質の低さに驚くが、思い出に浸るだけなら十分である。
画質はネガからデータに変換する機器の性能が関係しているのだろう。
ノイズが目立ち、ところどころスキャン時に入ったと思われるゴミが写っている。
jpeg 画像だが、Adobe Lightroom でノイズ除去や明るさの調整を行ってみた。

東北はあれから大変なこともあったけれども、
まだ再訪することはできていない。
地元でもないと、訪れる機会というもなかなかなくて、
12年くらい平気で経過してしまうものなのだなと思うと少し寂しくなる。

f:id:photobashiru:20190610003553j:plain

f:id:photobashiru:20190610003709j:plain

f:id:photobashiru:20190610003731j:plain

 

青森の恐山は車から眺めるだけしかできなかったが、
霊山と言われるだけあり、独特の雰囲気があった。
いつかもう一度ゆっくり来てみたいと、当時強く惹かれた。
恐山周辺は、どこか日本ではないような雰囲気の、荒野のような
林の中を通って行くのだが、そのうち海岸線の道になる。
そうすると、美しい景色、奇岩などが現れる。
仏ヶ浦を過ぎ、フェリーが出港する大間を目指す。

f:id:photobashiru:20190610003752j:plain

仏ヶ浦

海は青く透き通っていた。
東京 · 千葉で生まれ育ち、
海といえば九十九里浜くらいにしか行ったことがなく、
鉛色の海を見慣れていた私には、これだけでも気分が上がっていた。
青森に辿り着くまで、宮城 · 岩手はあいにくの雨だったというのもある。
雨の中、ごく普通の街を通りながら「宮城まであと350 km」というような
道路標識を見ながら進むというのは、かなり辛いものがあったが、
ここまで来た時には報われたような気がした。

f:id:photobashiru:20190610003956j:plain

 

f:id:photobashiru:20190610004025j:plain

f:id:photobashiru:20190610004040j:plain

f:id:photobashiru:20190610004056j:plain

f:id:photobashiru:20190610004111j:plain

 

f:id:photobashiru:20190610004143j:plain

f:id:photobashiru:20190610004200j:plain

この後、大間から出港するフェリーに車ごと乗船した。
フェリーではカモメがずっとついてきて、写真も何枚か撮ったはずなのだが、
現像してみるとその写真はなかった。露光を誤ったようだ。

一人で旅をしていると、ふとした出会いのようなものがあって、
同じ年齢くらいの若い人で、
ふらっと茨城からバイクで無計画に来たという人に会った。
財布くらいは持っていただろうが、ほぼ着の身着のままといった感じである。
フェリーの上で交わした会話が全てで、もう恐らく二度と会うことがない、
一期一会の出会い、この新鮮さとか清々しさというものは、
なかなか得がたいものである。
今でもこんな面白い人、まだいるのだろうか。

函館に着いて車を走らせていると、景色が本州とは全く異なることに驚く。
山の景色でも、緑色がどこか淡い感じで、雄大で穏やか、素朴な感じがある。
この日はニセコまで移動した。