"photobashiru" ...

写真を中心に、ほとばしってるものを。

木 原 千 春 (Chiharu KIHARA)Vatalism VIII @湯島 roid works gallery

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

木原千春さんという画家の存在を知ったのは、2020年の3月頃のことであった。2019年の秋·冬くらいから Twitter で物作りの作家さんなどをフォローし始めていた。どういう経緯でそのような人達がオススメに現れ始めたのかよく分からないのだが、面白いものでそのような人を一人フォローしてみたら、素晴らしい作品を作り出している人が芋づる式にどんどん現れてきた。そんな中で、ある芸術家の方がリツイートした動画が入ってきて、それが木原さんのドローイングの様子であった。この方、制作は油絵なのだが、日々の筋トレのために 5 分間で描くドローイングというのをやっていて、しかもメルカリで 2,000 円という、(私のような一般庶民にも手が届くような)破格の値で出品されている。日常的にアートを楽しめるような価格帯の作品があるというのは、私にはとても嬉しいことである。もともとアート関係には興味があったのだが、高くてとても購入できないものというイメージを持っていたので、目から鱗であった。

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

この方の作風として、絵から生命力があふれ出すような雰囲気があるのだが、その特徴の一つとして力強く迷いのないラインというのがある。興味深いのは、ドローイングにおける筆圧の強さで、線を引いている間に鉛筆の芯がぼきぼきと粉砕されるくらいの強さなのである。動画を見ながら思わず驚嘆の声が漏れてしまった。筋トレって、文字どうりの意味も含まれているのかなと思ったり。ユーモアのセンスもお持ちなのかなと思いながら、私は完全に心を鷲掴みにされてしまっていた。何度も動画を見ながら、彼女を突き動かしているのは何なのだろうかと想像した。何かにとりつかれたようでもある。あるいは、何かの衝動や情念、マグマのような熱いものが内に渦巻いているのだろうか。彼女が一心不乱に描く様は、私には侍が無数の敵に向かって一人立ち向かっていく様な無駄のない体の動きを連想させた。描き始める前に、ほんの一瞬間、どこか寂しげな表情が浮かんだ様な気がしたが、描き始めるともう無心になっているようであった。その様子を見ながら、もしかすると私は涙すら浮かべていたかもしれない。

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

木原千春さんは、ロイドワークスギャラリーに所属する作家さんで、この画廊の代表を務めるのが井浦歳和さんという方である。先のメルカリの 5 分間ドローイングも井浦さんの提案で始めたという。井浦さんは『ブレイク前夜』という若手作家を紹介する TV 番組のプロデュースも手掛けておられる。もう 5 年くらい続けているようで、これまでに総勢 250 人くらいを紹介しており、木原さんもその一人である。木原さんは一年を通した活動で完成させた作品の一部を集めて、その年の終わり頃に個展をロイド·ワークス·ギャラリーで開催されている。今回が 8 回目だそうだ。個展の名前は『Vitallism VIII』で、「生き生きとした」という意味の「vital」という単語を読んで分かるように、生命力が湧き出てくるようなイメージを表現されているようだ。

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

実を言うと、写真付きで作家さんなどの作品を紹介しようとすると、私の撮り方に問題があるのかもしれないが、二次制作的な雰囲気が出てしまうので、最近しばらくは距離を置いていた、というのがある。特に絵画の場合、何点かの難しいと感じる点がある。三次元的な造形の場合、写真は二次元的なものなので、我々はそれが、そのものの一部を切り取った写真だと無意識に認識している。一方で、絵画というのは我々は二次元的なものだと捉えがちなのだが、実際に見てみると三次元的なものだと感じるのである。絵の具の層の厚さとか、筆の跡とかいうような、実際の厚みがあるのはもちろんのこと、自分と絵との位置関係の問題もある。見る角度によって実際には対象の幅が変わっているのだが、実際に絵を見ている時には、自分と絵との位置関係の情報があるので、恐らく脳が勝手に補正してくれているのである。ところが、写真となると、カメラの位置の情報が無いので、歪んだ情報がそのままの画像になってしまう。図録用の写真としては、このような角度のついた写真は当然避けられるべきものであると思うが、正面から撮ると光の効果による絵の特徴が削ぎ落とされてしまうことがある。私が図録のような写真を撮っても仕方がないと思うので、あえて角度をつけた写真、絵の一部を切り取った写真を紹介したいと思う。絵画はやはり、実物を前にして、鑑賞したい。まさに、それを強く感じさせてくれるような作品である。

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

年内の会期は 2020 年 12 月 18 日 [金] - 12 月 29 日 [火] で、本日が最終日であるが、年明けは 2021 年 1 月 4 日 [月] - 1 月 10 日 [日] 12:00-19:00 となっている。湯島駅から下車して、2分くらい歩くと、湯島天神の道路を挟んだ向かいに大きな扇状のマンションがあり、その 1 F (実際には階段を下りていく形となる)にギャラリーがある。ホルストヤンセン肖像画の看板を頼りに進んでいけば良い。迷いそうになるかもしれないが ...

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Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

 

画家木原千春 ChiharuKIHARA (@kihara0529) | Twitter

メルカリ: https://www.mercari.com/jp/u/678593866/

Wellcome - roidworksgallery | ロイドワークスギャラリー


井浦歳和 Toshikazu Iura roid works gallery ブレイク前夜 (@ToshiIura) | Twitter