(12年前の旅を振り返っている。北海道に渡って7日目。)
函館まで戻る時間がないので、厚田から出るフェリーに乗ることにした。
フェリーは浅虫に着いた。
青森の海岸線を走っていると、海を挟んだ対岸に風力発電の風車が見える。
この旅も終盤に差し掛かっている。
来た時とは反対に、日本海側を下って行くことにした。
青森県から秋田県の間には白神山地があり、
ここは「世界遺産に登録された広大なブナ林」と地図には記されている。
白神山地の一部なのだろうが、その北の方に「十二湖; 日本キャニオン」
という場所があったので立ち寄ることにした。
湖が十二あるのだろうけれど、すべてに寄るのは断念した。
その中で一番印象に残ったのが「青池」という池で、
こんなに透きとおった青色の水は見たことがない。
五色沼のエメラルドグリーンとも、阿蘇の白川水郷の水色とも異なる。
濃く深い青で、かつ澄んでいる、そこに周りの緑が映える。
私の好きな青色。
よく見ると小さな魚が泳いでいる。
秋田の海岸線を走る。
「夏休みに田舎に帰省する」と言う時にイメージするような景色がそこにはあった。
このような景色を見る度、自分の田舎がここであればよかったのにと思ったりする。
秋田の国道を走っている時に気付いたのだが、
ある一定の間隔ごとにパラソルの下で座っているおばさんがいた。
国道なのでわざわざ止まって確認して見る気にもならなかったのだが、
不思議に思い、帰ってから秋田出身者に尋ねたところ、
アイスクリームを売っているのだそうだ。
秋田ではよく知られているそうで、
ネットで調べてみると「ババヘラアイス」とか言うんだとか。
日も暮れかかってきたところで、男鹿半島(おがはんとう)にさしかかった。
展望台には「菅江真澄の足跡」のような碑が立ててあった。
菅江真澄は、江戸時代後期の旅行家で、生まれは三河だそうだが、
旅をしながら津軽まで旅し、晩年は秋田に住んでいたようだ。
旅先での民族習慣、自作の詩歌、スケッチなど数多くの記録を残しているそうで、
文化人類学者·博物学者のような人だったようだ。
途中、どこかの博物館に寄ったが、当然ながらこの人の情報が得られた。
『菅江真澄遊覧記』という本にまとめられているらしいので、
読んでみたいものである。
この人の生き方は、私にとって一つの憧れであるのだろうと、
旅の途上にある自分に重ねながら思った。
参考:菅江真澄 - Wikipedia