秩父の 140 号線をそのまま西に進むと、雁坂トンネルがある。
比較的長いトンネルを抜けると、料金所があるが ETC ではない。
すると、そこは山梨の雁坂みちにつながっていて、西沢渓谷がすぐにある。
こうして、秩父経由で、再び山梨に入った。
ふと、ほったらかし温泉でどちらかの湯が、
日の出の 1 時間前から入れることを思い出し、もう一度行ってみることにする。
日の出の時間は 5 時 30 分頃、4 時 30 分は早すぎだろうと思い、
5 時に到着する。すると、すでに駐車場は車で一杯である。
皆考えることは同じようだ。この日は休日だった。
風呂に向かって歩いていくと、目の前に人の列が現れた。
入浴券を買うのに並んでいるのだった。
帰る気にもなれないので、仕方なく並んだ。
結局、40 分も待つはめになり、風呂に入る頃には既に日の出時刻は過ぎていた。
この日は曇りだったので、どうしたって日の出は見えなかったはずである。
この日は小さい方の風呂に入った。大きい方との違いはさほどない気がする。
2 時間程ゆっくりして、朝ごはんを食べようとすると、また行列である。
たかが卵かけ御飯に 30 分も並ぶというのはどう考えても異常である。
それでも、風呂から出たばかりでいい気分だし、景色もいいので、
皆なんとなく並んでしまうのだろう。
甲府へ出て、昇仙峡に向かう。
車で上がれるのはもっと上のはずであるが、
通行止になっていたため、近くの市営の駐車場に車を停めた。
ここは基本的に道が舗装されていて、観光地のようになっている。
川の流れの大きさも、西沢渓谷のものと比べるとだいぶ大きい。
歩いていくと、千田橋 · 愛のかけ橋 · 有明橋 · 羅漢寺橋という4つの橋があって、
川の対岸に渡れるようになっている。
そして渡った先は、舗装されていない山道になっている。
千田橋は見逃してしまった。愛のかけ橋を渡ってから、山道で次の有明橋に向かう。
おそらく普通の人は通ることはないのだろう。
草が生い茂って、かなり道が分かりにくい。なんとか橋に出た。
この時はこれが有明橋と勘違いしていたが、実は羅漢寺橋であった。
山道を進んでいくうちに有明橋は通り越してしまったようだ。
羅漢寺橋を渡って、舗装された道へ戻ろうとした。
しかし、橋で写真を撮っている人がいたので、
橋の横にある山道に続く小道に進んだ。
この時は、有明橋のつもりなので、
もう一つ橋があると勘違いしていたのだ。
落ちたら大変なことになりそうな崖っぷちの細い道を抜け、平凡な林を抜けると、
急に山道はこれまで以上に厳しくなる。
沢を越えるために山の奥に入り込んで、沢を渡り、また沢が現れる。
これを何度か繰り返していくと、ますます厳しい道になり、
そのうち目印のピンク色のテープも見えない場所になってしまった。
大きな岩がいくつも現れ、それらの下、あるいは上に回り込んで先に進んでいくと、
上方にこれはもう超えられないだろうという岩がまた現れる。
これはまずいと思い引き返すことにした。
引き返すものの、似たような景色を幾つか越えてきたため、
辿ってきた道が分からなくなる。
進んだり、戻ったりを繰り返し、何とか戻れそうな地点までたどり着いた。
危うく遭難するところであった。
羅漢寺橋にようやく戻ると、かなり時間も体力も消耗した。
途中の店で、岩魚定食を食べてようやく回復した。
後で地図を見てみると、この覚円峰の麓の森だったのかもしれない。
簡単な装備で立ち入るべきところではない。
仙娥滝(せんがたき)の脇を階段で登りきると、
水晶や宝石を扱う店がたくさん出てくる。
今では国立公園になっているため、水晶を採ることはできないのだそうだが、
かつて産出されていたという理由だけで、世界中から集められた石が売られている。
観光地でありながら、一度道をそれて森に入ると登山経験者の山になる。
山の恐ろしさを体験した1日であった。