4月13日に Pentax から K-3 III monochrome の発表があった。モノクロ写真専用機である。以前にオンラインのイベントでモノクロ機については話をしていて、当時はあまりピンときていなかった。
いつ話していたのかは忘れたが、結構時間がかかるのかなと思っていたら、案外早い登場だなという印象である。最近、年単位で時間の感覚がバグっているので、意外と準備期間はあったのかもしれない。
先日の CP+ のオンラインで芸人の小籔さんがカメラの話をしていてとても面白かった。カメラが趣味とは意外であったが、本当にカメラが好きなんだなというのが伝わってくる話ぶりで、あれを見てしまうともう満足してしまったので他のイベントは見ずに終いとなった。
その中で、小籔さんが Leica Q2 を使っていると言っていて、流れでYouTube の購入動画も見てしまったのだが、その中で Q2 には monochrome バージョンがあるというのを初めて認識した。高級コンデジだと思うのだが、80万円くらいするということで、高級にもほどがある。
Leica からは M10 Monochrome というのもあり、こちらはフルサイズのレンズ交換式である。そして、M11 Monochrome の発表に合わせて(?) Pentax K-3 III monochrome (APS-Cサイズ)の発表がされたようである。
M11 Monochrome が 130万円で K-3 III Monochrome が 33万円である。並べられると、Pentax のは安いという気がしてくる。通常の K-3 III は 25万円で買ったのだが、これでも APS-C にしては高いかなと思った記憶がある(フルサイズの K-1 とほぼ同じくらいの価格、K-3 III の方が高額だったかもしれない)。それを超えてきているので、なかなかのものである。
工房的な小ロット生産ということで、特殊なカメラなので、値段の方は仕方ないのかもしれない。しかし、Webサイトの予約注文は1日経つか経たないうちに、ひとまず受付終了となった。予想を上回る予約注文が入ったとのことである。なかなかの反響があったようで、ネット上でも Pentax のものづくりに対する心意気に対して称賛の声が上がっているようであった。
そんな事があったので、私自身もつい気持ちがもりあがってしまい、K-3 III でとった写真を Photoshop Lightroom でモノクロに変換してみたりして気持ちを紛らわせている。
通常のセンサーは RGB の3つ分の領域が必要だが、モノクロにするとそれが必要ないので、単純に考えれば 3倍くらい情報量が増えるはずである。その結果、階調表現がより豊かになったりする効果があるらしい。
実際どれくらいのものか見てみたいというのもあるが、K-3 III 自体も十分高精細だと思うし、性能に関係のない側面で言えばカメラ自体のデザインがモノクロ仕様になっていて非常にかっこいいなという印象がある。
いつの間にか、「高い、でも欲しい」という気がしてくる。これはどちらかと言うと、感情的に訴えてくるものがあるからである。
因みに、レフカメラでの初のモノクロ専用機ということであるから、独自性もある訳である。Pentax ユーザーからしてみれば、だったら Leica ではなく、Pentax 買おうとなりそうである。
レフカメラで撮影する際は、当然ながら現実のカラーの世界を見ながら撮影し、実際に撮影した後にモノクロの画が生成される。ここに撮影者の想像力が働く訳である。デジタルビューファインダーとか液晶モニターは、もしかすると撮影する前からモノクロにできるかもしれない。この辺の微妙な違いが、Pentax が撮影体験を重視し、レフ機のモノクロ専用機をまずは作ってきた理由なのだろう。
私自身はこれまでそこまでモノクロに執着してきたわけではない。撮影条件によってちょっと色がガチャガチャしているとか、明るい部分と暗い部分がはっきり分かれすぎていて色合いがうまく出ていないとか、色収差で変な色が出ているとか、そのような写真の Raw 現像をする際にモノクロにしてしまうと、なかなかよい絵になることがあるので、そのように使用してきた。
実際、今回モノクロ化した写真も、カラーでは候補から外していたような写真であったが、モノクロにしてみると案外いいなと思ったりする。
色がない分、明るい部分と暗い部分の差があった方が印象的になるからかもしれない。カラーの場合は、撮影条件として色の再現が難しくなる。
そんな訳で、カラー写真とモノクロ写真では最適な条件は違ってきそうである。今までは、カラーが前提で初めからモノクロにしようとはあまり考えた事がなかった。そのような意味ではモノクロ専用機は、これまでとは異なる撮影体験の機会を与えてくれるものとなるだろう。
とりあえず、欲しがっている人はたくさんいるようなので、私としては貯金をしながら実際に買うかどうか十分に迷うことにしよう。部品調達の問題で、納品に時間がかかりそうという注意書きもウェブサイトには掲載されていた。
少し前にはフィルムカメラプロジェクトというのが発表されており、こちらの動向も気になるところである。この発表も予想外のものであった。フィルムがそもそもなくなってきている現状で、そこだけが心配ではあるが、技術の継承を謳っている点には共感が持てる。そこからまた新しい技術やカメラが生まれるかもしれない。
お金がないのが悩ましいところである。