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静岡 大室山(2022. Apr.)

大室山(おおむろやま)は静岡県伊東市にある標高 570 m の火山である。木がほとんど生えておらず、草だけが生えている。歩いてすぐに登りきれそうだが、山体の保護のため、徒歩による登山は現在は禁止されており、リフトによって頂上まで登ることができる。

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

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約4,000年前に噴火したと考えられており、火山の中ではかなり若い部類とのことである。そのせいで木が生えていないのかと思えば、そうではなく、700 年以上も続く山焼きの伝統があるからだそうである。元々は茅場として利用されていた山で、良質な茅を採集する目的で、他の木などが生えないように山焼きをしていたそうであるが、茅を利用しなくなってからは、専ら観光的な目的のために伝統を守っているとのことである。

大室山 (静岡県) - Wikipedia

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.9 43mm Limited

火口の窪みの底部にはアーチェリー場が設置されており、火口の縁はお鉢周りで周遊することができる。

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.8 31mm AL Limited

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.8 31mm AL Limited

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大室山は若い火山ということで、岩石の年代の推定方法について少し調べてみたが、やはり放射性同位体元素の存在率を利用した方法が用いられているようだ。40K-40Ar 法(数万年以前の推定)と87Rb-87Sr 法(数千万年以前の推定)というのがある。年代測定法には大前提となる仮定があって、平衡状態の元素の存在率である。この値が何らかの環境の影響(噴火活動の有無など)で変動していた場合、前提が間違っているので間違った推定がされる可能性がある。また、放射性元素半減期の長さによって、測定できる年代に制限がある。K, Ar は希ガスなので、岩石の中から抜け出てしまっていることもあるのではないか、という懸念もある。科学的な方法とは言っても、技術的な幾つかの点から、推定がどれくらい正しいのかについては難しいのかもしれない。大室山の場合、地層から木片が発見され、その中の炭素の放射性同位体の壊変 14C-14N を利用して年代が推定されたようである。炭素法は 3-5 万年より新しいものに適している(理論限界は6万年前)。

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.8 31mm AL Limited

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火山噴出物のうち、塊状で黒い多孔質のものをスコリアというが、大室山はスコリア丘と言われる。玄武岩質から安産岩質のマグマが噴出し、スコリアが堆積する過程で、なだらかな斜面が形成されたものである。溶岩流が流れ出た場合、スコリアよりも溶岩の方が密度が大きいので、スコリア丘の隙間から染み出るように溶岩が地盤から流出し、スコリアは溶岩の上に浮くような形となる。その結果、スコリア丘を破壊しながら溶岩が流下することになり、馬蹄型(スコリア丘の一部が崩れた状態)になるという。大室山はきれいな円錐台を保っているが、溶岩は実際に大量に流出したようである。大室山の場合、麓付近から溶岩が大量に流出したとされ、一部は海にまで流れ込み城ヶ崎海岸を形成したという。

スコリア - Wikipedia

スコリア丘 - Wikipedia

大室山 | 南から来た火山の贈りもの 伊豆半島ジオパーク

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.8 31mm AL Limited

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.8 31mm AL Limited

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きれいな円錐台の斜面の角度は 30º 程度で、この角度は砂時計の砂が作る斜面に類似したものである。崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度は「安息角」と呼ばれ、地上においてはおよそ 35 º 程度とされるが、粒子の大きさや角の丸み·形状によって変わるそうである。 

安息角 - Wikipedia

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-FA 1:1.8 31mm AL Limited

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車で移動していると、「池」というシンプル極まりない地名を見つけた。今は無くなってしまったようだが、かつて溶岩流が渓谷に流れ込み、出口を失った川の水が溜まってできた湖があったのがその由来だと言う。ちょうど、下の写真の盆地が、湖が土砂によって埋め立てられた部分のようである。

伊豆の大地の物語

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