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静岡 石廊崎(2022. Apr.)-地球の内部構造-

伊豆半島は学生の頃だったか、一度車で一周したことがある。その時はなぜかあまり詳しく伊豆半島を回ってみなかったし、写真も残っていないので撮らなかったのだろう。どこかに行った帰り道に気まぐれに通っただけだったのかもしれない。道の駅「天城越え」に立ち寄って車中泊しようとしたが、降水量の多いところで大雨警報などが出たので、何となく心配になり夜中に暗い中車を走らせていたような微かな記憶がある。

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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伊豆半島の最南端の岬が石廊崎(いろうざき)である。
伊豆半島のあたりはいろいろな境界が存在している。国際水路機関(International Hydrographic Organization, IHO)の定義する海図においては、北太平洋(North Pacific Ocean)の細分としてフィリピン海(Philippine Sea)があり、石廊崎を境に西側がフィリピン海となっている。また、プレートテクトニクス理論に基づくプレートの分類に関しては、伊豆半島だけはフィリピン海プレートに乗っているのに対して、西日本はユーラシアプレート、東日本は北米プレートに乗っている。つまり、プレートの境界がちょうど伊豆半島周辺には広がっているということらしい。

国際水路機関 - Wikipedia

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プレート理論は仮説であるらしいが、伊豆半島に火山が分布していて、温泉がわいているという事実は、確かに地下で何かしらの岩石の運動が起こっているのは間違いなさそうである。伊豆半島の成り立ちについては、次のように考えられている。太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込むことで、海底火山群がプレート境界に沿って存在しているが、伊豆半島も2000万年前にはこれらの火山群だった。フィリピン海プレートユーラシアプレートに沈み込んでいて、100万年ほど前に本州に衝突し、60万年前ほど前に現在の伊豆半島の形になった。その過程で、丹沢山地の隆起が起こったという。

成り立ち | 南から来た火山の贈りもの 伊豆半島ジオパーク

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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このように伊豆半島は、地質学的に特異な興味深い場所であることから、ユネスコからジオパークに指定されており、ビジターセンターや解説板などがいろいろな場所に用意されている。

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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石廊崎周辺の岩は、海底火山の頃に噴出した溶岩流が海水によって急激に冷えて固まったものである。一般的に火山の近くには、小さな穴がたくさん空いた黒っぽい石をよく見かけるが、小さな穴は溶岩が冷えて固まる際に溶岩中の揮発成分が気化するために発砲しながら固まったことを物語っている。マグマが急激に冷えて固まる速度が速いほど、岩石の構成成分が結晶として成長しにくいので、岩石中の結晶質の粒の大きさは小さくなる。

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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黒っぽい岩にはタフォニと呼ばれる窪みが見られる。この窪みは海岸付近の地形に見られることが多く、岩石内部に生成した海水由来の塩類の結晶が成長し、その際の圧力により岩石の表層部が破壊されることによって生成すると考えられている。石室(いろう)神社はこの窪みにつくられている。

タフォニ - Wikipedia

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マグマが冷えて固まった岩石(火成岩)のうち、地表付近で急速に冷えて固まった岩石は火山岩と呼ばれる。(逆に、地中深くでゆっくりと冷えて固まった火成岩は深成岩と呼ばれる。)火山岩の例としては、玄武岩安山岩がある。火成岩は全岩化学組成(特に、SiO2の重量%)で分類され、玄武岩は SiO2 が45-52wt% で斑状組織を有するもの、SiO2 が 52-57wt%が玄武岩安山岩、SiO2 が57-62wt%が安山岩である。 斑状組織とは、斑晶(はんしょう;噴出前にマグマだまり内で結晶化されたもの)と石基(せっき;噴出時に急冷されて結晶化されたもの)から構成された組織である。

火山岩 - Wikipedia

玄武岩 - Wikipedia

安山岩 - Wikipedia

火山岩 - Wikipedia

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玄武岩は地表で最も一般的に見られる岩石だという。プレートテクトニクスでは、海嶺(かいれい)において、マントル(かんらん岩の固体)が地下から上昇する過程で圧力が下がることにより融解し(減圧融解)、発生したマグマが火山活動により新しいプレートと海洋地殻を生成する。減圧融解では、マントルを構成するかんらん岩のうち溶解しやすい成分が多くマグマに入るので、その結果として玄武岩質のマグマが生成する。従って、海洋地殻は全て玄武岩である。

海嶺 - Wikipedia

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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地殻の厚さは、海洋においては約 6 km 、大陸においては場所によって差があるが 30-40 km と海洋よりも厚く、山岳地帯の下の大陸地殻は特に厚く 60-70 km に及ぶところもある。地殻の下にマントルが存在することは、地震波が地殻中の伝達速度よりも速い速度でマントルを伝達することから推定され、地殻とマントルの境界面は発見者のアンドリア·モホロビチッチに因んでモホロビチッチ不連続面と呼ばれる。マントルの方が地震波の伝達速度が速いのは、マントルを構成する岩石の密度が大きく物理的に強固で変形しにくいからである。つまり、地殻よりもマントルの方が硬い。

地殻 - Wikipedia

モホロビチッチ不連続面 - Wikipedia

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地球の内部が層状の構造をとっていることは、いくつかの科学的方法を組み合わせて推定されている。モホロビチッチ不連続面の発見と同様に、地震波の速度を利用するのは一つの有力な方法である。地震波が速く伝達することは、密度が高い物質の存在か温度の低い物質の存在を意味する。逆に、地震波が遅く伝達することは、密度が低いか温度の高い物質の存在を意味する。この地震波の速度を解析してコンピューターでマッピングする技術(地震波トモグラフィ)が進歩し、地下の状態を可視化することができるようになってきている。もちろん、可視化すると言っても、地下がどのような構成になっているかのデータを取り込んでいるはずであるから、そのデータの質に正確性は依存するのだろう。

地震波トモグラフィー - Wikipedia

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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地下の各層がどんな成分で構成されているかは、地震波の速度の情報だけからは推定することはできない。地下の構成成分はボーリングによって岩石を採取し直接調べることができるが、現在でもせいぜい地殻までである。マグマが上昇してくる過程で、まわりの岩石を取り込むことがあり、この岩石を捕獲岩(ゼリノス)というが、この成分を調べることもできる。例えば、ダイヤモンドは 5 万気圧(深さ 150 km)で生成することが分かっているので、ダイヤモンドを含む岩石はそのような環境に存在したことがあると分かる。しかし、この方法によってもせいぜい地下 200 km の岩石しか手に入れることはできない。つまり、直接的に岩石の化学組成の情報が得られるのは、上部マントルの上部までである。マントルは上部マントル(深さ ~660 km)と下部マントル(深さ660 km~2700 km)に分けられ、上部マントルの下層は遷移層(深さ 410 km~ 660 km)と呼ばれる。地球を球体とした時、その半径は 6378 km で、我々は地球の約90%の物質は直接的には知ることはできない。プレートテクトニクスのプレートは 100 km ほどの厚さの岩盤のこととされ、地殻と上部マントルの最上部で構成されている。

捕獲岩 - Wikipedia

プレート - Wikipedia

 マントル - Wikipedia

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マントルはかんらん岩で構成され、その範囲は深さ 6-40 km~ 2700 km と幅広い層を成し、実に地球の体積の約80%に相当する。この層は深くなるほど、温度も圧力も徐々に上昇し、途中で岩石が相転移を起こし、結晶構造と密度が変化する。この層が上部マントルの遷移層と呼ばれるもので、実際にこの領域で地震波の速度が不連続的に変化している。このマントル層内で起こる岩石の動きや対流がプレートの動きを生んでいるのではないかと考えられているが、詳しいことは分かっていないようだ。これらの領域の岩石は直接的に調べることはできないが、実験室において岩石を高圧高温の環境に置き、その際の結晶構造を解析することによって、地下の岩石の構造を推定している。高圧条件は二つのダイヤモンドに極微量の試料を挟み込んで固く締め付けることで、高温条件はレーザーを照射することでそれぞれ実現され、この器具はダイヤモンドアンビルセルと呼ばれる。2004年にマントルの最底部の「D''層」(125万気圧、2200 ºC以上)の構造が発見された。

http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/research_highlights/no_57/

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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マントルを構成するかんらん岩は、主にかんらん石、その他に斜方輝石·単射輝石から構成される。カンラン石の一般式は (Mg,Fe)SiO4 で、Mg と Fe の二種類の元素が溶け合い全体として均一な固相をなす固溶体である。カンラン石の宝石はペリドットである。輝石の一般式は XY(Si,Al)2O6 で表される珪酸塩鉱物で X,Y には様々な元素が入る。結晶系により斜方と単射に分類される。

かんらん岩 - Wikipedia

カンラン石 - Wikipedia

輝石 - Wikipedia

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マントルよりも更に深いところにはコア(核)と呼ばれる部分があり、液体状の外核(深さ 2900 km ~ 5100 km)と固体状の内核(深さ5100 km ~ 6378 km)に分けられる。体積にして地球の約 20% に相当する。核の構造や化学組成については、地震波の情報に加えて、地球の自転の慣性モーメントから推定されている。地球が一様な球と仮定した時の慣性モーメントよりも実際は小さな値になっている。慣性モーメントはコマの回しやすさに例えられ、大きな値になるほど回りにくく、小さな値ほど回りやすい。慣性モーメントが小さいコマは、中心に質量がまとまっているようなコマである。つまり、地球の中心部は岩石よりも比重の大きなものであろうと予想され、地球に磁場が存在することと併せて、鉄とニッケルの合金と岩石で構成されると考えられている。

核 (天体) - Wikipedia

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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鉄に 5 wt% ほどのニッケルを含んだ合金の密度を高圧高温環境で測定すると、地震波から得られる密度よりも僅かに大きいことが分かった。このことから、核を構成する成分は、主に鉄でニッケルは鉄の 16分の1 ほどの量含まれ、更に水素·炭素·酸素·硫黄·ケイ素などの軽い元素が含まれると考えられている。

EPACS自然史博物館:地球のからくり

http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/research_highlights/no_89/ 

Camera: PENTAX K-1, Lens: smc PENTAX-DA☆ 1:1.4 55mm SDM

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地磁気には核内部の物質の運動が関係していると予想されるが、まだ詳しいことは分かっていない。マグマが流出して冷えて固まる際に地磁気の影響を受けて、磁性を持った鉱物は同じ向きに揃って並ぶが、海嶺の切れ目の両側に対称的に逆転を繰り返して広がっていることが発見された。これは、海嶺で海洋底が拡大している証拠の一つに挙げられると同時に、地磁気が逆転したことを意味し、過去360万年の間に11回逆転したことが判明している。
地球に磁場があることによって、太陽風宇宙線が遮断され、大気の状態が生物にとって正常に保たれ、またそれらの有害な物質自体が生物に届かないようになっている、という。

海嶺 - Wikipedia

地磁気逆転 - Wikipedia