"photobashiru" ...

写真を中心に、ほとばしってるものを。

GR -SNAP-(2022. Aug.)石沼

趣味の世界には色々な沼がある。カメラの世界もレンズ沼なんて最たるものだが、照明だのフィルターだの、色々なものが欲しくなってきたりして気付かぬうちに機材沼にはまっているなんてことになる。カメラの機種まで変え出したらもう終わりで、底なし沼にはまる様なものだから、私はもう Pentax と心中する心積りである。と言いつつ、既に sigmaDP2 Merrill を中古で買ってしまっていたりするのだから、油断も隙もあったものではない。それはもう終わったこと。これからはしない、などと浮気の言い訳の様である。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

とにかく、Pentax のレンズ群は全部とは言わないまでも、目ぼしいところはおさえられた様な気がしている。大体は中古で揃えたが、使用においては全く問題ない。純正のカメラ本体と同じくらいの価格帯のレンズはさすがに手が出ないので、オールドレンズなどで代用するつもりである。今のところ、完成度の高い機材 – フルサイズ機(K-1)とAPS-C 機(K-3 III)– の両方ともが手元にあり、これらとレンズの組み合わせをいろいろと試したかった当初の計画は達成されたことになる。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

もちろん、写真を撮ることの方が楽しいのは間違いないのだが、人間の収集癖というのはなかなかに強い性のようで、本当に必要で買っているのか、集めるために買っているのか分からなくなってくることがある。実際、私自身もそういった側面はあるし、世のカメラ好きも同様に半分は収集癖でできている様な気がする。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

収集といえば、小学生の頃には昆虫採集とか石集めとかをしていた。石に関していえば、その辺に落ちている灰色の石の間に白色の石が挟まった様な変わった石(はちまき石のような感じの)とか、透明ではないものの真っ白な石英質の石、色が良いと思った石、などを集めていた。お土産で天然石があれば買っていたし、紫水晶や透明な水晶なども機会があれば集めていた。そんな子供が大人になるとどうなるかと言えば、石沼にはまるのは目に見えているのである。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

はまっているといってもまだ傷は浅いはずである。そもそも私はそれほどコレクションに関して完璧主義者ではない。キラキラしたものとか美しい物に目が無い、程度のことである。子供の頃はルースの様なカットされた宝石はどうもあまり好きになれず、天然のままに近い鉱物標本を好んでいたが、いつの間にか、ルース大好き人間になっていた。当然、アクセサリーにも目がない。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

綺麗な物ならば、ガラスでも欲しくなる。スワロフスキーなど、あれはあれで見ていてとても癒されるのである。ルースに関して言えば、私はやはりある程度大きなものが好きである。そうなると、なかなか天然のものでは手に入れるのが難しいので、合成された宝石でも一向に構わない。特に、合成ルビー·合成サファイア·合成エメラルドなどはとても綺麗である。人工でないもので手頃な価格のものは砂粒の様に小さなものしかなく、組成も同じものに天然だというだけでべらぼうな金額を払う余裕など私にはないのである。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

合成宝石を偽物とか、あたかも価値がないものであるかのように扱うのは、天然石の価格を下げたくない、という売る側の論理だろう。そもそも、石ころには価値など初めから無いのである。それが欲しいと思うところに価値が生じたと言うだけのことで、金属と違い二次流通時の石の価値はゼロである。もちろん、合成品を天然石として売るのは詐欺には違いない。合成品である以上、それにかかるコストが決まってくるはずなのでそれが天然石と比べて価格が低くてどうだというのか。価格が低かったとしてもそれに価値がないわけではない。私のように天然石と同等の価値を見出す人もいるだろう。合成宝石というのは、それを可能にした科学者の、まさしく努力の結晶なのだから。クオーツに比べると、コランダムは重量感があって良い。キュービックジルコニアになるとさらにずっしりくるのだが、これは少々重すぎる様な気もする。キュービックジルコニアのギラギラ感はややどぎついが、そういう宝石だと思って眺めればそれなりに良いものである。とにかく私は宝石の重量感と煌めきにロマンを感じているのである。不平を言うとすれば、合成品のカットに甘いものが多いことである。価格が上がらないからといって、そこで手を抜いて欲しくないのである。手間賃分はあげても良いので高い品質のカットを合成宝石にも施してほしいと思う。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

いろいろ買っていると、当然ながら失敗もある。通販で海外のものを購入してみて、見るからにガラスの様だなと思いながらも買ってみて、届いてやはりガラスの様だな、という時はやはりがっかりである。結晶質かガラス質かというのは、見た感じで何となくわかるのである。もちろん、ガラス工芸で美しいものもたくさんあるし、本当に美しければ良いのだが、そもそも素材自体が美しくもなく、カットの質もお粗末ときたら、それはいらないなと思うのである。子供用のおもちゃくらいにはなるかもしれない。逆に言えば、大きな合成水晶に高品質なカットを施したもので安価に手にできるのであれば是非欲しいところである。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

こんなただ綺麗なだけの石ころに大金を注ぎ込む人が大勢いるというのは考えてみれば不思議なものだが、実際、(私も含め)人を惑わせる魅力が宝石にはあるようだ。屈折率が高くカットによってギラギラ輝く宝石も良いのだが、ムーンストーンラブラドライトオパールの様な、イリデッセンスとかアデュラレッセンスとか言われる、光と石の微細構造との相互作用によって生じる独特な色合いもまた、神秘的な美しさがある。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

オパールは少々高いものもあるが、比較的安価に手に入るものもたくさん出回っているし、合成品も作られているようである。ムーンストーンラブラドライトは元々それほど高いものではないので、気軽に楽しめる石という感じがする。同様に安価で、私がとても好きなのは、アゲートである。アゲートにもいろいろと種類があるのだろうが、模様が独特で絵画のように見えるものもあって、良い模様のがあるとどうしても欲しくなってしまう。アゲートの一種で、サードニクスという赤い中に白い筋が入った石があるが、これもなかなか面白い。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

少々硬度が低く、宝石とは言えないのかもしれないが、なかなか魅力的な鉱物なのが、蛍石(フルオライト)である。紫とか緑とか色にバリエーションがあるし、透明な結晶はとても綺麗である。硬度が低いとは言ってもジュエリーにし難いだけで、手で持った感じでは割と硬い。安価なイメージのあるフルオライトだが、Wikipedia によればフッ素のリサイクルが実質的に不可能であるために鉱山が掘り尽くされ枯渇の心配があるそうである。実際、質の高い鉱物標本は(私にはとても買えないような)かなりよい値段で販売されていた。

Camera: GR, Lens: f=18.3mm 1:2.8

何と言っても、クオーツはアメジスト、グリーンアメジスト、シトリン、アメトリン、イエロークオーツ、スモーキークオーツ、など、加熱処理なども含めて色のバリエーションもあるし、そこまで高価ではないので大きな石も何とか手に入れられる範囲内である。カットの仕方によっては、素晴らしい輝きが得られるので、私も大好きな石である。逆に、小さくても満足感のある石もある。スフェーンは黄色から黄緑色でダイヤモンドよりも強いファイアを持つと言われており、実際みると虹色にギラギラ輝いて見える。インクルージョンが多い石と言われるので、小さくて綺麗な石の方が満足感は高いかもしれない。... と石沼もなかなかのものである。鉱物学的なマニアックな収集の仕方をする人も多いのだと思うが、私は今のところ目の保養程度で良いかなと思う。