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K-3 III とオールドレンズ -No.6- (2022. Apr.)私がほしいカメラ

前回に続いて、ロシアレンズ JUPITER-9 85mm と K-3 III の組み合わせ。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

私が初めて手に取ったカメラは父親のフィルムカメラであった。フィルムカメラと言っても、光度計が内蔵されていたようで、露出で失敗することは無かったように思う。当時は絞りや露光の知識が無かったので、わざと適切な露出からずらしてその情報をメモしたり、などやってみていたが、あまりそのような実験が身になったとは思えない。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

フィルムをカメラ屋さんで現像してもらっていたので、現像のやり方でも結果は変わってくるのではないか、と思う。当時は現像もやってみたいような気がしていたと思うが、今のところ興味を失っている。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

私が中学·高校の頃は、カメラと言えばフィルムカメラだったと思うが、いつの間にかデジタルカメラが当たり前になり、今となっては一般的な人にとってはスマホで写真を撮ることの方が多くなった。カメラというもののありようがここ 20 年間の間にこれほど変化したのかと、改めて技術の進歩の速さを実感する。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

私が中学·高校の頃、まだまだパソコンがそこまで普及していない時代だった。パソコンというものが便利らしいということで、父親がパソコンを自宅に購入したのが私が中学から高校の頃であったと思う。これがあればタイプライターがいらなくなる、などと言っていたのだから、今思えば驚くべき時代である。そのような時代だから、当然ながらデジタルカメラを買うなど、やはりハードルの高いことだったのだろう。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

当時、パソコン教室のアビバの宣伝などが、やたらとテレビで流れていたように思い出すが、その数年後に大学に入ってからはパソコン作業は普通のことのようであった。パソコンが生活に溶け込んでしまえば、画像をデジタルデータで楽しむことに対するハードルはどんどん下がっていった。私の世代はこんな風に、物自体の価値と思い込んでいたものが実はデータとしての価値なのだ、ということに気づいていった世代だと思う。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

文字を読む媒体は紙が主体であったし、音楽といえばカセットテープや CD である。当時は、CD-R の盤自体をとても貴重なものであるように思っていた。それは虹色に輝く盤面の物質的な輝きも一役買っていたのかも知れないが、パソコンが普及するに従って、一枚の CD-R が実はものすごく安価なものだと知った時は少し切ない気がした。音楽の CD を買うと、ケースに入っている歌詞が書いてあるリーフレットをとても大事に扱っていたように思う。今の若者にはそのような感覚はないのだろうなと思う。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

フィルムカメラにしても、高価で、扱いづらく、難しそうなもの、という印象があり、だからこそ、カメラそのものに対する魅力のようなものがあったと思う。しかし、やはりフィルムはお金がかかるし、上達するのが難しそうだったので、デジタル一眼カメラという存在を知った時にはこれは画期的なものだと衝撃を受けた記憶がある。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

当時の私がデジタル一眼カメラに求めていたものは、それがデジタルデータで保存されるという一点に尽きる。絞り、露光時間などの撮影条件のデータとそれによって得られる画像が対応して保存される。こんな今では当たり前のことに感動していたのである。もちろん、デジタルデータである以上、画素数は最も分かりやすく、事実上重要なスペックであったであろう。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

そのような画質に関係する技術が今となっては十分に成熟して、恐らくほとんどのデジタル一眼カメラの画像に質的な差はほぼ無くなっているだろう。画質こそカメラの本質であると思う。絵の綺麗さをクリアしたならば、次は感度の拡張性で、より少ない光しかない状況でも違和感のない画像を出力する技術、その後の進歩はいかに完成された機械にするか、という方向性なのだと思う。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

最近のデジタルカメラは、オートフォーカスの速さ、瞳からフォーカスを外さない、連写性能、データの記録の速さ、など完成度が相当に高くなっているようだ。そんな時、私が使っている Pentax はと言うと、、随分スペックが足りないような気がしてくる。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

しかし、よくよく考えてみると、自分が撮りたい写真にそのような機能が必要かと言えば、そこまで必要ではないようにも思う。オートフォーカスに関してはたまにストレスを感じるが、極端な話、マニュアルだけでも十分な写真を撮ることが多いのである。私が Pentax にした理由は、やはり機能と価格のバランスが一番だと思う。手にしやすい価格帯で工夫すればちゃんとした写真が撮れる、そんなカメラである。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

正直、そこまでよく考えずに、身近な人が Pentax を使っていたのと、業界の中ではややマイナーなイメージがあったのが、何となく自分のキャラにはまっているような気がしたのである。もう 10 年近く使って慣れているのもあるが、やはり形とかボタンの位置とか、物自体の使いやすさはある気がする。オールドレンズを含め、使えるレンズが結構色々あるのも良かった点である。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

APS-C の K-r · K-5 から始まり, フルサイズの K-1, APS-C の K-3 III と、結局投資している額はもはや決して少なくもないのだけれども、K-1 と K-3 III を手にして、初心に戻って、色々と腰を落ち着けて実験を重ねていきたいと感じるカメラである。ミラーレス一眼のような軽くて持ち出しやすさやこれまで撮れなかった写真が撮れるスペックの高さは、カメラにとって絶対的な正解ではある。一方で、Pentax の K マウントがこれまで積み上げてきたレンズの使い回しを考えた時、レフカメラを貫く意味もあるのではないか、と言う結論に至ったのだろう。

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

Camera: PENTAX K-3 III, Lens: JUPITER-9 85mm F2

K-1, K-3 III も良いのだけれど、昔のフィルムカメラと全く同じような質感、外観と重さのデジタル一眼があったら良いなと思ったりする。K-1 は少々デカくて重いのである。また、少々ボタンが多い。もっとシンプルなものがあっても良い。趣味のカメラなのだから。カメラの扱いに慣れた人に向けた、余計な機能を削ったモデル、極端な話、液晶モニターは無くてもよいのではないだろうか(さすがに、それはやりすぎだと言う人が多いだろうが)。モードはマニュアルのみ(露光を自動で調整するグリーンボタンはあったほうが便利かもしれない)、ユーザーがイジるパラメータは、ISO感度·絞り·露光時間のみ、細かな設定は PC に接続してそこから操作して変更でき、レフカメラで K マウントレンズ交換式、価格は高級コンデジ並み、などできないだろうか?要するに、今日はこんなテーマで撮影しようと決めて、フィールドではただ撮影に集中する、それができれば良いのである。その場で対応できない対象もあるかもしれないが、それはそれで良いのではないだろうか。