K-3 III とオールドレンズ -No.2- 私の写真道（2022. Mar.）

我々は何か不都合なことがあると、分かりやすい何かの所為にする、という性質があるようだ。実際にはいろいろな要因が絡んでいて、そう簡単には原因と結果を結びつけられないだろうに、である。

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今であれば、全てコロナの所為ということで、いろいろな事を片付けがちであるし、老人が自分の事を棚に上げて「最近の若者は...」と言う時（もうそんな時代も遥か昔のことで、そのセリフ自体を聞くことも珍しいように感じるが）もそうである。仕事場での新人をゆとり世代などと揶揄し、問題を教育制度の所為と決めつけたりする。

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上の世代が下の世代をいびるという構造は昔からあってかなり根強いものであるが、最近では面白いことに逆転現象も起きているようだ。「働かないおじさん」なんてワードを目にするようになったが、自分ももしかするとその範疇に入ってしまうのだろうか。人にもよるのだろうし、世代もかなり幅広そうなワードである。個人的には、バブル期に青春を過ごしたであろう世代は感覚がおかしくなっている人が多いのでは、などと推論してみているが、実際は時代の雰囲気と無関係の人も沢山いるだろうし、推論の域を出ない主張になりそうである。

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要するに、これらはある種の冗談のようなもので、出鱈目な理由をつけて鬱憤を晴らしたいと言うだけのことで、そう真面目に考えるようなことではないのだろう。

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そして、私はコロナのせいで、ここのところ、散歩しながら写真を撮ることがあまりできていなかった。K-3 III を導入し、いくつかオールドレンズも入手したので、撮影散歩に行きたいとは常々思っていたのだが、冬の寒さには勝てなかった、というのが本音である。そもそも、冬は撮りたいものもあまり無い（という思い込みもある）。

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しかし、3月になり、花なども咲き始め、実際に出歩いてみると、割と撮りたいものに出くわすものだなと、改めて実感した。一人で一枚一枚時間をかけて撮影していると、カメラが手に馴染んでくるような感覚がある。そして撮影した写真をその日のうちに Raw 現像して、映りを確認すると、レンズの特性が少しずつ分かってくる。

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気づけば、毎回同じような対象を撮影していると気がつくが、なぜか楽しい。3月になれば梅の花が咲き、去年も一昨年も同じような画角で撮影したことだろう。しかし、また季節が巡ってくればやはりまた撮りたくなるし、他人から見れば同じような写真に見えても、去年の梅の花の写真と今年の梅の花の写真とでは、自分にとってはやはり異なるのである。

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そこに何の違いがあるのかと言えば、撮影者の心情があるのである。それぞれの人に思い出があるのと似て、写真には撮影者の心情がのっている。写真を撮るのが好きな人はきっと、自分の心情や記憶を補完するものとして写真を撮るという行為そのものを楽しんでいるのではないだろうか。

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もちろん、出てきた画が自分の好みの感じに撮れていたり、予想外の良さを発見することも、写真を撮ることの醍醐味ではある。他人の写真はどんなに綺麗な写真、面白い写真、かっこいい写真も、自分が撮った写真に比べると、それほど興味が湧いてこない。

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SNS を見て、惹かれたとしても、おそらく数秒だろう。保存しておきたいと思う写真もあるが、きっと見返すことは無い。他人の撮った写真に対する飽きの早さについて、私は常々不思議に思っている。

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もちろん、ずっと見ていたくなる写真もあると思う。そのような写真は何が違うのか？新しさや奇抜さだけを追求した写真は、間違いなくつまらないし、飽きが早いだろう。

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撮り手の心情が見る側と共感できるような写真、ありふれているようで普遍性を感じるような写真、そういう写真を撮りたいと思うし、それが私にとっての写真の追求なのだと思う。同じような写真を自分の生の過程に沿って集積すること、それがたまらなく面白いのである。

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最新の 85mm のレンズは高すぎて手が出ないので、オールドレンズの 85mm を入手してみた。APS-C の Pentax K-3 III につけたので、1.53倍するとフルサイズ換算の 130mm 画角相当ということだろうか。実際、フルサイズで 85mm もあまり使用していないので、画角のずれはあまりピンとこない。