"photobashiru" ...

写真を中心に、ほとばしってるものを。

不要不急の生活

「不要不急の外出を控えて下さい。」
この言い方で何となく意味が通じてしまうのがいかにも日本らしいと思う。
要するに、生活必需品の入手とか止むをえない仕事上の理由がない限りは、
できるだけ外出を避け、外出するにしても
密集 · 密閉 · 密接(三密)を避けるように行動して下さい、ということだ。
しかし、改めて以前の日常生活を考えてみると、
大半の人は仕事の内容も含めて、ほぼ不要不急の事をしている訳で、
在宅ワークに切り替えようとすればそれなりに対応していけるし、
それだけで多くの会社の経営が立ち行かなくなるという事実も、
不要不急の消費が現実の社会を支えていた証拠のように思えてくる。

私の場合、デスクワークと作業系とその管理系の仕事を
常に掛け持ちしているような感じなので、作業系の仕事が休止となれば
デスクワーク系の方に集中出来るということで、
在宅ワークの方が断然効率が良い。
却って集中しすぎて食事をとることを忘れてしまうくらいで、
仕事以外のこういった文章を考えたりする時間がむしろ減ったくらいである。

買い物は日常品以外は5年前くらいからほぼネットショッピングにしているので
あまり代わり映えしない。
外に出かけない分、画家の人の作品とか、個人作家の作品、
趣味関係の物 · 嗜好品などをいつもより多く消費してしまった。
個人作家の人達は、
イベントで物を売るというのが通常の商売形態のようなので、
イベントが延期になった代わりに online のイベントを開催して、
ネットショッピングに切り替えた人達もいる。
日常的には物を作る作業に集中したいのだろうから、
商品を売る期間というのは限定されていた方が効率が良いのだろう。
ネットショップにしても、
常時開店で受注 · 発送を並行してやるというのは手間がかかるだろうし、
期間限定の方が特別感があって楽しい。
私にしてみれば、ある程度高価なものは
イベント会場よりはネット決済の方が気持ち的に買いやすい。
その場で決済をする(特に現金で)というのは面倒だし、
商品を持ち帰ることを考えると、どうしても購入をためらってしまう。
一方で、ネット詐欺がこれだけ幅を利かせている現状を考えると、
生産者の顔が見えるというのも重要な要素で、
売り手と買い手の間の信用を構築する意味合いで、
イベントにおける商品の展示や作家の作品を扱うお店の存在、
というのは今後も必要になるだろう。
現物を手にとって見れるのがイベントで、
受注 · 決済はネットショップか、イベント会場でのカード決済 · QR コード等
による電子決済というのが理想かもしれない。
送料や決済システムへの負担というのは、
生産者にとって悩ましいところかもしれない。
気になっているのは、バーなどの飲食店である。
残念ながら、これらの場所にお金を落とす機会は私に関する限り
無くなってしまった。

以前から資本主義経済の仕組みはよく分からないと思っていたが、
今回のコロナ禍でますますよく分からなくなってきた。
お金を川の水に例えて考えてみると、
川の水をダムのようにせき止められているのが現在の状況で、
水中で生きる魚が我々人間である。
ダムの下流にいた魚は水が干上がって死につつあるが、
運良くダムの上流にいた魚にはそれほど問題があるようには思えない。
ダムの下流にいる魚を救うために水を流さなければならないが、
ダムの水は自由に使うことができない。
時空を操ることができる魔術師が
「これは未来のこの場所には存在しているものだから、
それをちょっと拝借するだけだ。」と言って、
上空から雨を降らせている。
ダムから水を放流していけば徐々に元の状態に戻るだろうと予想されるが、
どうもそう単純でもないらしい。
ダムの水かさを観察していると、少しずつ水量が減っている。
ダムの底に穴が空いていて、
ごく少数の魚が暮らす別のダム(我々のダムよりはるかに容量が大きい)
へとつながるパイプラインで繋がっている。
穴があることは周知の事実になっていて、
その豊かなダムへはうまくすれば誰でも移動できるということになっているが、
実際にはそうやすやすとは移動できない。
このまま雨を降らし続けることで何が起きるのだろうか。