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紙巻たばこ(シガレット)に含まれる燃焼補助剤?

 愛煙家の中には、パイプやシガーを極端に偏愛し、紙巻きたばこを蛇蝎のごとく嫌う人々がいる。私もそのような人々の一部である。紙巻きたばこが嫌われる一番の理由は、巻紙の匂い、喫煙後の悪臭だと思われる。少なくとも私はそうである。

 そこで生まれる疑問として、「紙って燃えるとそんなに臭かったかな?」というものがある。確かにいい匂いではなかったように思うが、シガレットの巻紙はちょっと臭すぎると思うのである。そんな訳で、「あの紙にはきっと何か入っているに違いない」ということになる。実際、「紙巻きたばこには燃焼補助剤が入っている」という議論がある(たばこ関係には色々と謎が多いが、この話もその一つである)。その話では、燃焼補助剤はたばこの葉に混ぜているわけではなく、巻紙に含まれているということだ。しかし、たばこ会社は特別説明する必要がないということで、この技術に関しては公開していないらしい(私自身はこの事実をそれほど真剣には調べてはいないし、調べる気もない)。具体的な化合物名としては「硝酸ナトリウムチリ硝石」とされ(硝酸アンモニウムだと言う人もいる、ちなみに現在 JT からは添加物リストが公開されているがここに硝酸塩の名前は挙がっていない)、硝酸ナトリウムは熱分解すると「酸素」を発生する。つまり、吸うことで空気を送り込んでやらなくても、燃焼の熱で分解した硝酸ナトリウムから酸素が常に供給されるというわけである。

 確かに、シガーやパイプは少し放っておくと火が簡単に消えてしまうのに対して、紙巻きたばこは一度火をつけるとそのまま燃焼しつくしてしまう、という性質がある。ただ、燃焼補助剤はその性質を担う一つの要素ではあるだろうが、紙巻きたばこには他にも燃焼しやすい要因がある。シガー、パイプ、紙巻き、これらに使われるたばこ葉の大きな違いは、葉そのものの形状と湿気である。シガー、パイプ用のたばこ葉は、一つの塊が比較的大きく、湿気を含んでいる。一方、紙巻きたばこの葉は、細かく乾燥している。これらの理由で、紙巻きたばこの葉はもともと燃焼しやすいのである。また、「巻紙」はそれ自体薄い紙であるから当然燃えやすい。それにしても、紙巻きたばこの巻紙に燃焼補助剤を加えているとすれば、技術的には非常に合理的でよく考えられていると感心するのである。着火しにくいシガーも、切り口の円周部分だけ十分に着火してやれば、喫煙しているうちに内部はその熱で自然に燃焼するようになる。円筒形状の外側が燃えることが重要なのである。

 硝酸ナトリウムの分解で生じる酸素は良いとして、残りはどうなるのか。単純に考えて、「亜硝酸ナトリウム」なのだが、この化合物はさらに分解したり、たばこ葉に含まれる他の化合物と反応して別の化合物を生じる可能性が高い。例えば、亜硝酸ナトリウムがアミンと反応して生じるニトロソアミンは、発癌性が指摘されている物質である。(健康への影響はあまり気にしないとして、)アンモニアのように窒素を含む化合物は大抵臭いものだから、紙巻きたばこの悪臭の原因の一つは、巻紙に含まれる燃焼補助剤と考えて間違いなさそうである(あくまで、硝酸ナトリウムが入っていたと仮定した場合の話であるが...)。実際に生じうる化合物は、他にもいろいろと考えられるだろう。

 話は多少それるが、健康被害を根拠としたある種の攻撃が、しばしば「でっち上げられる」ことがある。たばこや酒のように、体にある作用を及ぼすものを摂取することに関して、「一概に」健康への良し悪しを議論することほど胡散臭いものはない。摂取量や各個人の体質によって状況は変わってくるからである。たばこを健康のために吸わない人が、医者に処方された薬は何の抵抗もなく摂取するという状況はしばしば目にする。薬もまた健康に対してある程度の悪影響を及ぼし得るものであるにもかかわらず... 。たばこに含まれるとされる発癌性物質の一つであるニトロソアミンも特定の食品からは発生し得るものだという(加工肉や魚などの食品には保存料あるいは着色料として亜硝酸ナトリウムが添加されていて、食品中のアミンとの反応、または体内の代謝の過程でニトロソアミンが生成する)。亜硝酸ナトリウムを加えることにより、ボツリヌス菌の繁殖を抑えることができる利点に比べて、ニトロソアミンによる害は取るにならないものである。同様に、喫煙によって得られる利点に比べて、発癌性のリスクがどれほどのものかということである。癌細胞というのは、健康な人でも1日にある程度の数が生成しているらしい。もしそれが本当であるとすれば、発癌性物質の摂取というのは、がん細胞の生成確率を多少上げているに過ぎない。健康な人はそれらを全て排除できるから問題ないのである。癌になった人というのは、加齢などの理由で癌細胞に対する耐性が弱っていたというだけのことである。たばこを批判するとしたら、「臭いからやめてくれ」と言うのが妥当であろう。まあ、私はシガレットは吸いませんが...。

 

参考WebSite 

パイプ座談会|日本パイプクラブ連盟

添加物情報 | JTウェブサイト